JINとタケルは、時間破壊者の存在を確信しながらも、結晶体がどこにあり、どれほどの力を持っているのかをさらに調査する必要があった。未来のデバイスから得られる情報には限りがあり、JINは村の伝承や目撃情報をもとに、結晶体の正確な位置を突き止める必要があった。
「結晶体の力が本当にすごいものなら、敵に渡る前に何としてもその力を知っておく必要がある」とJINはタケルに語った。
二人は再び北の山の洞窟へ向かった。夜になると異様な静けさが周囲を包み、空気にはピリピリとした緊張感が漂っていた。JINは未来の技術を駆使して洞窟の奥を慎重に調査した。装置が捉えたエネルギー反応は、目に見えない波動として洞窟の奥深くから放射されていた。
「間違いない。この先に結晶体が眠っている」とJINは確信した。
二人がさらに奥へと進むと、狭い通路が大きな空間へと開け、そこには神秘的な青白い光が漂っていた。その中心には、大きな六角形の結晶体が浮かび上がり、微かに振動していた。その光は生きているかのように脈打ち、周囲の岩壁に淡い影を投げかけていた。
「これが…光の石。村の伝説にあったものだ!」タケルは目を輝かせて呟いた。
JINは結晶体に近づき、未来の分析装置をかざした。結晶体から放たれるエネルギーは、装置の計測を大きく超え、未知の物理法則を操る可能性を示していた。さらに調べてみると、この結晶体が地球全体の自然エネルギーに影響を与える中心的な存在であることが分かった。つまり、この力を操れば、地球の生態系そのものを変えることができるのだ。
「信じられない…。こんな小さな結晶が未来の安定を支えているなんて」とJINは感嘆した。
しかし、結晶体に触れると、JINの体に異変が起きた。触れた瞬間、頭の中に膨大な情報が流れ込んできたのだ。それは結晶体の過去と未来、そしてその力を使う者への警告だった。
「この結晶体は、純粋な意志を持つ者のみが扱える。力を欲する者が近づけば、災いをもたらすだろう」という声がJINの意識の中に響いた。
「JINさん、大丈夫?」タケルが心配そうに声をかけた。JINは汗を拭いながら答えた。「ああ、問題ない。ただ、この結晶体は本当に特別だ。力を手に入れたいと願う者には応えない。だからこそ、敵がこれを手にすれば大変なことになる。」
タケルはその言葉に頷きながらも、不安げに尋ねた。「でも、どうやって守ればいいの?敵が来たら、こんな力、僕たちじゃどうにもできないよ。」
「守り抜く方法はある。この結晶体の力を理解すれば、敵よりも先に動ける可能性があるんだ」とJINは答えた。
突然、洞窟の外から足音が響いてきた。二人はすぐに身を潜めたが、その足音は明らかに一人や二人ではなかった。洞窟の入口には、時間破壊者の一団が姿を現し、手に未来の装置らしきものを携えていた。彼らは結晶体の力を封じ込める準備を進めているようだった。
「奴らが来たか…。ここで戦うのは無理だ。一旦引くぞ、タケル!」JINはタケルの腕を引き、洞窟の奥に逃げ込む道を選んだ。時間破壊者たちに結晶体を奪われることは避けなければならない。
結晶体の力の壮大さを目の当たりにしたJINは、この力が未来だけでなく現在の世界にも深刻な影響を与える可能性を強く感じた。そして、時間破壊者が結晶体を狙っている以上、戦いは避けられないと決意を固めた。
「結晶体は渡さない。どんな犠牲を払っても未来を守るんだ。」JINの瞳に強い意志の光が宿った。
(第9話へつづく)