上伊那未来人JINー第5話「初めての異変」

JINとタケルが「光の石」にまつわる調査を進める中、村全体に奇妙な現象が現れ始めた。それはある夜のことだった。空は晴れていたはずなのに、突如として暗雲が立ち込め、空気が重たく感じられる不気味な静けさが村を包み込んだ。JINはその異変にすぐに気づき、タケルに警戒するよう促した。

「タケル、家に戻れ。これは普通の天気の変化じゃない」と、JINは真剣な顔で言った。 「でも、JINさん、一緒に行かせてよ!何か大事なことが起きてるんでしょ?」とタケルは懇願した。 その直後、村の北の山の方向から低い唸り声のような音が響いてきた。地面がわずかに震え、木々が揺れる。タケルもその音を聞いて身をすくめた。

「間違いない。結晶体が何らかの反応を起こしているか、それを狙う何者かが動いている」と、JINは内心で確信した。

夜にもかかわらず、JINは北の山に向かうことを決意した。タケルも強情に「僕も行く!」と言い張り、二人は山道を急ぎ足で進んだ。途中、JINは未来から持ち込んだ分析装置を取り出し、異常なエネルギー反応を検知した。その値は驚くほど高く、自然界では説明できないレベルだった。

「やっぱり結晶体の力が影響を及ぼしているんだな」とJINは呟いた。しかし、それ以上に気になるのは、このエネルギーが外部からの何かに引き起こされた可能性だった。

二人が山奥に進むにつれ、空気はますます冷たくなり、鳥や虫の声も完全に消えていた。目の前には、村の古い伝承で語られていた「洞窟」が姿を現した。洞窟の入り口には苔むした石碑が立っており、そこには古代の文字が刻まれていた。

「これは…警告だ。『この先に進む者、石の守りを破らんとする者、災いを呼び起こす』と書いてある」とJINは碑文を読み上げた。

タケルはその言葉に目を見開きながらも、「それでも進まないといけないんだよね?」と震えた声で言った。

洞窟の中に入ると、さらに異様な光景が広がっていた。岩肌には薄く青白い光が走り、時折パチパチと静電気のような音が響いている。明らかに自然界のものではない現象だった。JINは装置をかざし、結晶体に由来するエネルギーが洞窟の奥から放射されていることを確認した。

だが、その瞬間、洞窟の奥から何かが動く音が聞こえた。まるで地面を引き裂くような轟音とともに、暗闇の中から巨大な影が現れる。それは明らかに動物ではなく、何らかの機械のようだった。

「時間破壊者…!」JINは直感的にそれが彼らの仕業であると理解した。未来のテクノロジーを使い、結晶体を強奪しようとしている敵がここに潜んでいたのだ。

「タケル、後ろに下がれ!」JINは鋭い声で叫ぶと、未来の装備から出した防御用のフィールドを起動させた。その装置が光を放ち、機械の動きを一瞬だけ鈍らせた。

「これで時間を稼げる。ここから一度撤退しよう」とJINはタケルに言い、洞窟の入り口へと急いだ。だが、心の中では確信があった。このままでは結晶体が敵に奪われるのは時間の問題だ。

「タケル、今回のことは誰にも言うな。村を巻き込みたくない。けれど、僕はすぐに対策を考える」とJINはタケルに言い聞かせた。

タケルも真剣な表情で頷き、こう答えた。「わかったよ。でも、僕もちゃんと力になれるように頑張る!」

こうして、JINは初めて結晶体の力が引き起こす異変と、敵の存在を目の当たりにした。戦いはまだ始まったばかりだったが、JINの使命はますます重大なものになっていくことを予感させた。

(第6話へつづく)