翌朝、村に戻ったJINは疲労を感じながらも、昨夜の洞窟での出来事を反芻していた。時間破壊者がこの地で活動していることを確信したJINは、結晶体の力を守るためにさらに行動を起こさなければならないと考えた。だが、その前に未来からの支援が必要だった。彼の任務は個人の力だけでは到底成し遂げられない。タイムパトロールのチームとしての連携が求められていたのだ。
村の外れにある人目のつかない場所を見つけたJINは、未来から持ち込んだ通信デバイスを取り出した。それは見た目にはただの腕時計のように見えるが、実際には時空間を超える通信を可能にする高性能な装置だった。JINはデバイスを起動し、基地への接続を試みた。
「こちらJIN、未来基地との通信を試みる。応答を願う。」彼の声が緊張で少し硬くなる。数秒間、何も反応がなかったが、やがて装置が微かな音を発し、未来基地のホログラムが浮かび上がった。
「こちらタイムパトロール本部。通信を受信しました。状況を報告してください。」低く落ち着いた声が聞こえた。それはJINの上司である指揮官、セラフィーナの声だった。
「状況は深刻です。長野県上伊那郡にある結晶体の存在を確認しました。しかし、時間破壊者の活動も確認され、結晶体を狙っている模様です。昨夜、彼らの機械と思われるものと接触しましたが、まだ本格的な戦闘には至っていません。」JINは正確に報告した。
「時間破壊者の動きが確認されたか…。やはり奴らの目的は結晶体の力を奪うことにあるようだな。JIN、引き続き監視と防衛を最優先に行動せよ。必要であれば追加の支援を送る。」セラフィーナは鋭い声で指示を与えた。
「了解です。ただ、現地の協力者として、村の少年が私の任務を手伝っています。彼は地元の伝承や地形に詳しく、有益な情報をもたらしています。」JINはタケルの存在についても触れた。
通信の向こうでセラフィーナが一瞬沈黙した後、「地元の協力者か…過去の人間を巻き込むのはリスクが高い。だが、現状では君の判断に任せる。慎重に行動することだ。」と答えた。
通信が終わると、JINは深い息をついた。タイムパトロールはバックアップを約束してくれたが、この時代で孤独に任務を遂行するプレッシャーは大きい。だが、村に戻るとタケルが元気よく駆け寄ってきた。
「JINさん、何してたの?また新しい作戦でも考えてるの?」と、彼は無邪気な笑顔で問いかけた。その笑顔に少し救われる思いをしながら、JINは冷静に言った。
「少し準備をしていたんだ。敵の動きを止めるためには、これからもっと慎重に進まないといけない。でもタケル、君は危険な目に遭わないように気を付けてほしい。」
「僕だってちゃんと役に立ちたいんだ!昨日のことだって、僕が案内したから洞窟にたどり着けたんだよ。」タケルの言葉には、自分も何かを守りたいという強い意志が込められていた。
JINはその言葉に一瞬考え込んだが、やがて微笑んで答えた。「わかった。じゃあ、君も一緒に作戦の一部を手伝ってくれ。でも、危険なときは必ず僕の指示に従うんだ。約束できるか?」
「約束する!」タケルは満面の笑顔で答えた。
こうしてJINは、タイムパトロールの存在を背負いながら、タケルという現地の協力者とともに任務を続けることを決意した。未来の技術と現代の知恵を融合させ、結晶体を守る戦いは次の段階へと進む。
(第7話へつづく)